ブロックチェーン技術は, 分散型ネットワーク上で信頼性の高いデータ管理を実現する基盤技術として, 暗号通貨などに広く利用されているが,ブロックチェーンのサイズが増大するにつれ,取引検証に必要な計 算量や通信量が増加するという課題がある. この問題に対処するため,Agrawalらは効率的なデータ検証を 可能にするKey-Value Commitments (KVaC) を提案した. しかし, KVaCではkey-value pairの挿入操作 と更新操作が識別可能であり,更新情報から操作の頻度やタイミングが推測されることで,取引の動向や意 図が解析されるリスクがある. この課題を解決するために, 本研究では, Oblivious Accumulatorを導入す る. 集合データを効率的に管理する暗号Accumulatorは, 通常, 要素の追加と削除をサポートし, (非)メン バシップ証明を提供する集合コミットメント方式である. Oblivious Accumulatorはさらに, 要素の隠蔽と 追加・削除の識別不可能性を保証する特性を備えている. Oblivious Accumulatorを活用し, すべての更新 操作を挿入操作として処理することで,KVaCにおける操作内容の識別を防ぎ,取引のプライバシを向上さ せるKey-Value Commitment方式を提案する.

Top