現在の公開鍵方式や一部の共通鍵方式において利用されている暗号は,従来のコンピュータに対しては安 全性が示されているが,量子コンピュータの暗号解読攻撃によって破られることがわかっている. 格子暗号 は量子コンピュータによる攻撃にも安全な耐量子計算機暗号の候補として研究が進められている. 格子暗号 はLearning with Errors (LWE)問題の安全性の基づく. 特に, 代数体である円分体の整数環におけるLWE 問題はRing-LWE問題と呼ばれ, 暗号方式やデジタル署名等が提案されている. さらに, Bomberらによ り, 格子暗号と符号ベース暗号を関連付ける新たな視点として,関数体上のRing-LWE問題であるFunction Field Decoding Problem (FF-DP)が提案された. 代数体と関数体には類似した性質が多く, FF-DPもまた Ring-LWE問題との類似点を多くもつ. しかし,FF-DPは定義と簡単な応用例の提案のみであり,安全性は 検証されていない. 本論文では,格子問題への攻撃で利用されるKannanの埋め込み法を適用することで, FF-DPの安全性について考察した.

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