近年,情報通信技術は急速な発展を遂げ,社会システムの根幹を担うようになった.現代の情報化社会を支える技術の一つとして,暗号技術が挙げられる.暗号技術は,通信においてデータの機密性,可用性,完全性の保持に必要不可欠である. IETF が標準化した暗号化プロトコルである TLS1.3 では,共通伴暗号方式のうち,同じ疑似乱数生成器をもちその出力との排他的論理和により平文を小さい単位で逐次処理するストリーム暗号として ChaCha のみが採用されており,現在その脆弱性解析が数多く行われている.主な解析手法として,入力に差分を与え出力差分との関係を用いる差分解析と,線形近似式を用いる線形解析が挙げられる.また,近年差分解析と線形解析を組み合わせる差分線形解析と呼ばれる手法が提案され
た.本研究では,ChaCha に関する既存研究で新たに導入された線形近似式を拡張するとともに入力/出力差分について再評価し,安全性解析を行う.

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