近年, 量子計算機の研究が盛んに行われている. 量子コンピュータは従来のコンピュータとは異なる計算原理を持ち, 素因数分解や離散対数問題を多項式時間で解読することができる. 現在広く使用されている RSA暗号や楕円曲線暗号が解読されるため, 量子計算に耐性のある耐量子計算機暗号 (PQC) が必要と考えられている. 2016 年から NIST(米国立標準技術研究所)では PQC の標準化プロジェクトを進めており, 第 4ラウンドまで継続されている. さらに, 2023 年には新たに PQC の署名方式の標準化プロジェクトを始めた.本論文では, NIST に掲載されている署名方式から, 脆弱性の確認されていない署名方式のうち, 実行時間,公開伴サイズ, 署名サイズを比較し評価する. また, 量子計算への耐性やセキュリティの強度を考慮し, 標準化に適している署名方式を考察する.

Top